土屋文明(つちや・ぶんめい)
明治23年(1890)
平成2年(1990)
大正 昭和
歌人
青山南町の自邸
赤坂青山南町5?50
南青山3-11付近

『アララギ』 伊藤左千夫 斎藤茂吉
明治23-平成2(1890-1990)。歌人。群馬県高崎市出身。幼少期に育てられた叔父に俳句を教わり、旧制高崎中学時代から俳句や短歌を『ホトトギス』に投稿。卒業後、恩師の紹介により伊藤左千夫を頼って上京し、創生したばかりの『アララギ』の最年少の同人となりました。大正14年(1925)第1歌集『ふゆくさ』を出版。昭和5年(1930)斎藤茂吉に代わり、『アララギ』の編集発行人になりました。芸術院会員。61年文化勲章受賞。
青山での老境の日々を歌に綴る
昭和20年(1945)5月に青山南町の自宅で空襲に遭い、6月に群馬県吾妻郡原町に疎開。青山南町には昭和26年(1931)に戻ってきます。すでに文明は61歳になっていましたが、その後も精力的に歌を作り続け、青山南町という地名に由来した歌集の『青南集』(62歳から71歳までの作品)、『続青南集』(71歳から76歳までの作品)、『続々青南集』(77歳から83歳までの作品)を発表していきました。
文明の作品は、叙情という言葉にまつわる湿潤な情感を切り捨て、現実を直視するもので、「文明調」「新即物主義」などと呼ばれました。戦争中にはファシズムに対する怒りや戦争をめぐる生と死をテーマとしましたが、『青南集』以降は戦後の庶民の生活を見つめ、老境の感慨を詠いました。
◎参考文献
『短歌シリーズ人と作品17土屋文明』(近藤芳美/桜楓社)
『ふゆくさ』(短歌新聞社文庫)
『往還集』(短歌新聞社文庫)
『山谷集』(短歌新聞社文庫)
『青南集』(短歌新聞社文庫)

『短歌シリーズ人と作品17 土屋文明』(近藤芳美/桜楓社)
『現代短歌体系2 窪田空穂 土岐善麿 土屋文明』(三一書房)
『斎藤茂吉と土屋文明:その場合場合』(清水房雄/明治書院)
『土屋文明の跡を巡る』(横山季由/短歌新聞社)
