小山内 薫(おさない・かおる)
明治 14年(1881)
昭和 3年(1928)
明治 大正
劇作家 演出家
小山内薫の胸像
三田2-15-45・慶應義塾大学内

永井荷風 翻訳劇 三田文学 龍土軒
明治14-昭和3(1881-1928)。劇作家、演出家。明治42年(1909)、2代目市川左団次らと自由劇場を創立。イプセン、チェーホフ、ゴーリキーなどの翻訳劇を上演し、近代演劇の基礎を築きました。ロシア、ヨーロッパ外遊を経て、大正9年(1920)には松竹キネマ研究所長を務めています。さらに大正13年には土方与志(ひじかた・よし)らと築地小劇場の結成に尽力し、本格的な近代劇場運動を推進しました。チェーホフの『三人姉妹』『桜の園』などの演出を手がけ、多くの新劇俳優を輩出しています。
『三田文学』ら「龍土会」まで幅広い人脈を築く
東京帝国大学英文科を卒業しましたが、永井荷風に請われて明治43年(1910)より慶應大学文学部で劇文学の講義を受け持ちました。生徒の中には小山内が選考を務めた懸賞戯曲でデビューした久保田万太郎や佐藤春夫ら三田派の新進作家たちがいました。また、芝浦の旅館「芝浜館」を第2次『新思潮』の編集会議に利用し、谷崎潤一郎ら若き作家たちの後見人的な役割も果たしていました。
昭和3年(1928)に初版が発行された『大東京繁昌記』では「芝、麻布」編を担当し、麻布の「龍土軒」で開かれていた「龍土会」について記述しています。国木田独歩を中心に明治時代の文士たちが文学論や人生論を忌憚なく交わし合っていた様子を、愛惜の念を込めて描いています。
◎参考文献
『日本人名大辞典』(講談社)
『日本芸能人名事典』(三省堂)
『ブリタニカ国際百科事典』(TBSブリタニカ)
『大東京繁昌記山手篇』(平凡社)
小山内薫の胸像(三田2-15-45・慶應義塾大学内)
『不思議ものがたり』(小山内薫、芥川龍之介ほか/ネット武蔵野)

『小山内薫と二十世紀演劇』(曽田秀彦/勉誠出版)
『大東京繁昌記 山手篇』(平凡社)
