川瀬巴水(かわせ・はすい)
明治 16年(1883)
昭和 32年(1957)
大正 昭和
版画家
増上寺
芝公園4-7-35

新版画 白馬会 増上寺
明治16-昭和32(1883-1957)。版画家。糸組物の職商人の家に生まれ、10代のころは日本画を、成人してからは白馬会葵橋洋画研究所で洋画を学びます。鏑木清方(かぶらき・きよかた)に師事したのち、版画家として開花。大正7年(1918)渡辺版画店から出版された処女作3点を皮切りに、500種を超える風景版画を制作。作品に『旅みやげ』第1-3集、『日本風景選集』『東京二十景』などがあります。
故郷・芝の風景を叙情的に描いた“昭和の広重”
芝区露月町(現・新橋)に生まれた巴水は、幼い頃から絵が好きで、芝神明町に住む青柳墨川(あおやぎ・ぼくせん)などに絵の手ほどきを受けます。27歳で鏑木清方門下となり、巴水の画号を与えられました。結婚後は「仙台屋敷」と呼ばれた芝区愛宕下町に暮らし、画家活動を続けていましたが、35歳の時に同門の伊東深水が制作した木版画とともに、版画商の渡辺庄三郎と運命的な出会いをします。
巴水は渡辺の知遇を得て処女作『塩原おかね路』などを出版。以降、日本各地の風景を叙情豊かに描いた作品を次々と発表、新版画の代表作家として内外から高く評価されました。生まれ育った芝をテーマにした作品も多く、文化財記念作「増上寺の雪」を始め、『東京十二ヶ月』の「麻布二の橋の午後」、『東京二十景』の「芝増上寺」、『新東京百景』の「芝大門の雪」などを残しています。
◎参考文献
『日本人名大辞典』(講談社)
『川瀬巴水展』(日本経済新聞社)
『夕暮れ巴水 林望の日本美憧憬』(林望/講談社)
『版画家川瀬巴水と渡辺版初日カバ~』(秋吉誠二郎/三好企画)
『川瀬巴水展』(日本経済新聞社編/日本経済新聞社)
『夕暮れ巴水 林望の日本美憧憬』(林望/講談社)

「芝公園の雪」、「芝離宮恩賜公園」、「芝増上寺」(大正14)、「赤坂弁慶橋」、「芝大門之雪」、「芝大門」(大正15)、「麻布二の橋の午後」(大正10)