蒲原有明(かんばら・ありあけ)
明治 9年(1876)
昭和 27年(1952)
明治 大正 昭和
詩人
龍土軒
麻布龍土町
六本木7-4-4

岩村透 国木田独歩 島崎藤村 龍土軒
明治9-昭和27(1876-1952)。詩人。明治31年(1898)小説『大慈悲』が読売新聞の懸賞小説に当選しますが、のちに小説執筆に限界を感じ、詩作に専念。明治35年より詩集『草わかば』『春鳥集』などを上梓し、象徴主義的詩風を打ち立てました。やがて次世代の自然主義派の出現により時代の流れから取り残されますが、昭和22年(1947)に自伝的小説『夢は呼び交わす』を出版し、再び脚光を浴びました。
「龍土会」の幹事を務め、サロンの世話役となる
美術評論家の岩村透が麻布龍土町のフランス料理店「龍土軒」で開いていた洋画家たちのサロンに、若い文学者たちが合流する形で、明治37年(1904)11月から「龍土会」が始まりました。岩村と懇意の、また田山花袋ら小説家たちとも交流のあった蒲原が、その会の幹事を務めました。
龍土会には国木田独歩、田山花袋、島崎藤村、正宗白鳥、徳田秋声など当時の文豪たちも参加し、芸術談義を交わし合いました。劇作家の小山内薫は『大東京繁昌記』の中で、龍土会は早稲田派・赤門派・文学界派・硯友社派などすべての党派を包容していた、と記しています。
◎参考文献
『日本人名大辞典』(講談社)
『夢は呼び交わす』(蒲原有明/岩波文庫)
『作家の臨終・墓碑事典』(岩井寛編/東京堂出版)
『文学散歩東京』(冬至書房)
蒲原有明の墓(元麻布1-2-12・賢宗寺)
龍土軒跡の標識(六本木7-4-4)
『現代詩文庫 蒲原有明詩集』(思潮社)

『「坊ちゃん」の時代』(関川夏央、谷口ジロー/双葉社)
