国木田独歩(くにきだ・どっぽ)
明治 4年(1871)
明治 41年(1908)
明治
詩人 作家
龍土軒
麻布龍土町
六本木7-4-4

青山霊園 蒲原有明 島崎藤村 龍土軒
明治4-明治41(1871-1908)。詩人、作家。明治27年(1894)に日清戦争の従軍記者として名を挙げた後、佐々城信子との結婚生活を経て、明治30年『独歩吟』を発表し、詩人として認められました。翌年には浪漫的な短編小説『武蔵野』『忘れえぬ人々』などを著し、明治34年の『牛肉と馬鈴薯』とともに自然主義文学の先駆けとして評価されます。肺結核のため、37歳で短い生涯を終えました。
日本の自然主義は龍土軒の灰皿の中から生まれた
明治後期、柳田国男の牛込の自宅に文学者らが集まって「土曜会」が開かれていました。次第に参加人数が増えたため、麹町の洋食店「快楽亭」が会合場所となり、さらに快楽亭が麻布龍土町に移転し「龍土軒」となるにともない、会合も「龍土会」と呼ばれるようになります。
柳田国男の他に、国木田独歩、田山花袋、蒲原有明、島崎藤村ら20-30代の自然主義文学者が多く集まったため、「日本の自然主義は龍土軒の灰皿の中から生まれた」といわれています。若き文学者たちはヨーロッパ文学を論じ合い、「我々龍土会からもフランスあたりへ行くものがあれば、うんと盛大に送別会をしようじゃないか」と独歩が語っていたことを親友の田山花袋は書き伝えています。青山霊園の墓碑には花袋の筆跡で「独歩国木田哲夫之墓」と刻まれています。
◎参考文献
『日本人名大辞典』(講談社)
『港区史跡散歩』(俵元昭/学生社)
『東京文学散歩』(東京都高等学校国語教育研究会/教育センター)
『東京文学探訪明治を見る、歩く』(井上謙/NHKライブラリー)
国木田独歩の墓碑(南青山2-32-2・青山霊園)
龍土軒跡の標識(六本木7-4-4)
『武蔵野』(新潮文庫)
『牛肉と馬鈴薯・酒中日記』(新潮文庫)
『欺かざるの記抄 佐々城信子との恋愛』(講談社)

『文人暴食』(嵐山光三郎/マガジンハウス)
『「坊ちゃん」の時代』(関川夏央、谷口ジロー/双葉社)
