島崎藤村(しまざき・とうそん)
明治 5年(1872)
昭和 18年(1943)
明治 大正 昭和
作家
島崎藤村旧居跡
飯倉片町
麻布台3-4-17

北村透谷 ヘボン 明治学院
明治5-昭和18(1872-1943)。作家。馬籠村(現・岐阜県中津川市馬籠)の旧家に生まれ、9歳で学業のため上京。明治学院を卒業後、北村透谷らと『文学界』を創刊。『若菜集』を刊行するなど、まず詩人として活躍しますが、34歳で出版した長編『破戒』で小説家としての地位を確立。自然主義文学の代表的作家となりました。
文学に目ざめた学舎と、名作を生んだ飯倉片町の家
明治14年(1881)学業のため上京した島崎藤村は、泰明小学校、三田英学校(現・錦城学園)、共立学校(現・東京開成中学)を経て、明治学院(現・明治学院大学)普通部本科に第1期生として入学します。翌春からは寄宿舎「ヘボン館」に入り、まもなくキリスト教の洗礼も受けます。藤村は後にこの学校を舞台に『桜の実の熟する時』を書き、また、同校の校歌も作詞しています。
明治学院卒業後の藤村は、東京・麹町、仙台、信州で教鞭をとりますが、33歳の時、執筆中の『破戒』を抱えて再び上京。しかし収入を失った島崎家の生活は貧窮し、『破戒』の完成前後に3人の子と妻が次々に亡くなっています。大正2年(1913)すべてを断ち切るように渡仏した藤村は、3年後に帰国すると港区内(芝二本榎西町、西久保桜川町2番地)を転々とし、大正7年、飯倉片町の家にようやく落ち着き、18年間を過ごします。代表作『夜明け前』は、藤村が生涯で最も長く住んだこの家で生まれました。
◎参考文献
『コンサイス日本人名事典』(三省堂)
『日本文学全集4島崎藤村』(新潮社)
『藤村全集』第9巻(筑摩書房)
明治学院大学・島崎藤村自筆の校歌の歌碑(白金1-2-37)
島崎藤村旧居跡(麻布台3-4-17)
『若菜集 愛蔵版詩集シリーズ』(日本図書センター)
『破戒』(新潮文庫)
『千曲川のスケッチ』(岩波文庫)
『夜明け前』(新潮社)

『島崎蓊助自伝~父・藤村への抵抗と回帰』(島崎蓊助/平凡社)
『島崎藤村論』(亀井勝一郎/新潮社)
『藤村をめぐる女性たち 』(伊東一夫/国書刊行会)
『新潮日本文学アルバム 島崎藤村』(三好行雄/新潮社)

宮地謙吉宛入学依頼書、明治学院宛欠席届、『幼きものに』原稿、林保広宛書簡