武田百合子(たけだ・ゆりこ)
大正 14年(1925)
平成 5年(1993)
昭和
作家
赤坂の自邸
『富士日記』
大正14-平成5(1925-1993)。作家。神奈川県横浜市で代々の地主・鈴木家の三女として生まれますが、第二次大戦後に生家は没落、百合子は行商や秘書など職を転々とします。神田の喫茶店兼酒場「ランボオ」に勤めていたときに作家の武田泰淳と出会い、同棲。昭和26年(1951)に長女を出産したのを機に結婚しました。昭和51年(1976)に泰淳が亡くなった後は、エッセイなどを発表。『犬が星見た-ロシア旅行』で読売文学賞の随筆・紀行賞を受賞するなど、希代の文章家として高い評価を得ました。
赤坂のマンションと富士の山荘を行き来する日々
長女を出産後しばらくは杉並などで暮らし、昭和35年(1960)年に赤坂のマンションに転居。昭和39年に山梨県富士桜高原の山荘が完成してからは、週の半分をここで過ごすようになり、このときに書き綴った日記が後に『富士日記』として出版されます。赤坂のマンションには、武田夫婦を慕う竹内好、大岡昇平、丸山真男などの作家や文化人が頻繁に訪れ、百合子もその才能と感性を愛され、作家の埴谷雄高からは「天衣無縫の芸術者」と評されました。
◎参考文献
『日本人名大辞典』(講談社)
『文藝別冊武田百合子』(河出書房新社)
『富士日記』(上・中・下)(中公文庫)
『犬が星見た~ロシア旅行』(中公文庫)
『ことばの食卓』(ちくま文庫)
『遊覧日記』(ちくま文庫)

『百合子さんは何色』(村松友視/ちくま文庫)
『文藝別冊 武田百合子』(河出書房新社)
