根津嘉一郎(ねづ・かいちろう)
万延 元年(1860)
昭和 15年(1940)
明治 大正 昭和
実業家
根津美術館
南青山6-5-1

骨董品 鉄道王
万延元-昭和15(1860-1940)。実業家。甲斐国(山梨県)に生まれ、33歳で村長になりますが、明治30年(1897)上京して株式投資で巨利を得、実業界に進出します。明治37年(1904)には衆議院議員に当選し、翌年東武鉄道社長に就任。このほか多くの鉄道敷設事業に関わり「鉄道王」と呼ばれました。一方で明治42年(1909)のアメリカ視察の折、大富豪が社会に寄付を行うことに感銘を受け、「社会から得た利益は社会に還元する義務がある」という考えのもと、学校の創立や骨董品の収集など社会貢献にも力を注ぎました。
私邸の庭と収集品を広く一般に開放
明治39年(1906)青山高樹町(現・南青山)に土地を手に入れた嘉一郎は、明治42年ここに居を移し庭園を造ります。珍木や奇岩を配した野趣溢れる庭で「箱根の天景、軽井沢の自然美、奥多摩の渓谷等を一同に蒐(あつ)めたるの観がある」といわれました。昭和15年(1940)嘉一郎が逝去したあとは、その遺志を継いで根津美術館が設立され、嘉一郎の収集した古美術品、茶器を中心とするコレクションが広く一般に開放されるようになりました。以来、その内容の豊かさと質の高さで多くの人を魅了。「私益を棄てて広く大衆のために」という嘉一郎の想いが、今でも生き続けています。
◎参考文献
『日本人名大辞典』(講談社)
『根津嘉一郎人物で読む日本経済史』(宇野木忠/ゆまに書房)
根津美術館(南青山6-5-1)
『世渡り体験談』(実業之日本社)

『東武王国 小説根津嘉一郎』(若山三郎/徳間文庫)
『根津嘉一郎 人物で読む日本経済史』(宇野木忠/ゆまに書房)
