樋口一葉(ひぐち・いちよう)
明治 5年(1872)
明治 29年(1896)
明治
歌人 作家
樋口一葉宅
麻布三河台町
六本木3丁目

半井桃水
明治5-明治29(1872-1896)。歌人、作家。歌人・中島歌子の歌塾「萩の舎」に通い、早くから才能を表しました。明治22年の父の死後、生計のために小説を書き始めますが、文筆業だけでは苦しかったため、内職や雑貨屋を営んだりもしています。明治27年末から1年余りの間に『大つごもり』『たけくらべ』『にごりえ』『十三夜』など傑作を次々と発表。肺結核により24歳の若さで亡くなりました。
芝で始まった作家修業とラブロマンス
一葉というと『たけくらべ』の舞台となった台東区や作家として多忙な晩年を過ごした文京区本郷の印象が強いですが、幼い頃には麻布三河台町、経済的に窮してからは次兄・虎之助の暮らす高輪北町、芝西応寺町に身を寄せたこともあります。腕はあるのに世に入れられぬ高輪住まいの陶工とその妹の物語『うもれ木』は次兄がモデルとなっています。
また19歳のとき、芝区南佐久間町(現・西新橋)で暮らす小説家・半井桃水(なからい・とうすい)の家を訪問し、以後、半井を師と仰ぐようになりました。明治25年(1892)には半井の主宰する雑誌で処女作『闇桜』を発表。半井との1年2か月の交流は、作家修業であるとともに明治の文壇をにぎわすラブロマンスとして評判になりました。
◎参考文献
『日本人名大辞典』(講談社)
『一葉の四季』(森まゆみ/岩波新書)
『樋口一葉日記の世界』(白崎昭一郎/鳥影社)
『たけくらべ・にごりえ』(岩波文庫)
『大つごもり・十三夜 他5篇』(岩波文庫)

『樋口一葉「いやだ!」と云ふ』(田中優子/集英社新書)
