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港区ゆかりの人物データベースプラス


みなと雑学BOX

点在する14個の力石?力持ちにあこがれた江戸庶民

芝大神宮の力石(左)讃岐小白稲荷神社の力石(右)
力石(ちからいし)とは、力自慢の男たちが力試しをするために神社の境内などに置かれている大きな楕円形の石のことです。江戸時代には、力石を用いた「力持ち」という興行が盛んに行われました。近代的な機械のない時代、頼りになるのは人力であり、強い力を持つ人へのあこがれが興行を支えていました。神社に力石があるのも、「力持ちにあやかりたい」という願いがあったからでしょう。力石にはその重さや持ち上げた人の名、年号が刻まれています。

「力持ち」には、さまざまな競い方があります。「石担ぎ」は、地面に立てた石をしゃがんで抱え、膝の上に載せて立ち上がり、肩の上に担ぎ上げる、最も一般的なものです。中には「曲持ち」といって、仰向けに寝て両足を高く上げて足の裏で石をくるくる回すものもありました。力石は最低でも16貫(60キログラム)あるので信じられない力です。

さて、芝大門の芝大神宮には50貫(188キログラム)の力石があります。「慶應3年生まれの通称・金杉の藤吉、本名・山口藤吉」が力持ち興行で持ち上げたものです。藤吉は、芝金杉川口町に住み、芝浦の汽船から生活物資を小舟に積み替えて金杉川岸の倉庫へ運ぶ仕事をしていました。体は小さいのに米俵を片手で持ち上げるほど力が強く、力石も片手で持ち上げたと言います。

このほか、港区では赤坂氷川神社、讃岐小白稲荷、高輪神社などで、14個の力石が確認されています。それらを訪ね歩けば、力持ちにはなれないまでも強い気持ちはもらえそうな気がします。
参考文献
『東京の力石』(高島眞助/岩田書院)
『港区文化財のしおり 区指定・登録文化財編』(港区教育委員会)
関連サイト
現住所
芝大神宮(芝大門1-12-17)地図を表示