解説
文化2年(1805年)2月に発生した町火消しの「め組」と江戸相撲の力士たちとの乱闘事件。原因については諸説がありますが、芝神明宮(現・芝大神宮)で開催されていた勧進相撲興行をただで見ようとした「め組」の辰五郎たちと、それをいさめた力士の九竜山とのトラブルから始まったと言われています。もともとは些細ないざこざでしたが、両者が再び出くわした芝居小屋でさらに揉め事が大きくなり、果てには町火消しが半鐘を鳴らして仲間を呼び集め、力士も部屋の仲間に加勢を頼んでの大乱闘に発展しました。歌舞伎「御摂曾我閏正月(ごひいきそがうるうのしょうがつ)」が上演されるなど、この事件は講談や芝居の題材として取り上げられました。